しばらく放置したらカビが生えていた!

トラブルシューティング4しばらく放置したらカビが生えていた!

2011年発行 「日本の革 4号」より

靴のカビを取り除いたら
保管場所の環境も改善

久しぶりに下駄箱から靴を出したらうっすらと白っぽいものが…。ほこりかと思ったら何とカビ。そんなことはよくあるものだ。カビが生えたらとにかくそれを取り除くしかない。カビは革に根を生やすことが多く、拭きとるだけではだめで、アルコール除菌剤などを使って、菌そのものを取り除く必要がある。除菌剤を使って根気強くカビを拭きとっていこう。
また、カビ対策はただ靴のカビを取るだけではダメだ。そもそもカビが生える環境が問題で、湿気の多さや風通しの悪さといった、靴の保管場所の環境を改善しないと再びカビが生えてしまう。靴のカビを落とすと同時に、下駄箱や玄関の風通しがよくなるように工夫しよう。

表面にうっすらと白いカビが生えたレザーシューズ。一見するとホコリにも見えるが、しっかり白カビが革に根を生やしているので、表面をこすっただけでは落ちなくなっている。

Step 1. 水拭きである程度落とす

表面のホコリや汚れ、浮いたカビなどを取り除く。水雑巾やウェットティッシュなどを使っていわゆる水拭きをする。これだけでもかなり表面のカビは落ちる。

Step 2. 中もしっかり水拭きする

カビは靴の中まで生えていることが多いので、内側もしっかり水拭きする。中のつま先の方までしっかり拭くために、作業を始める前にシューレースを外しておくといい。

Step 3. アルコール除菌剤で拭く

ウエスにアルコール除菌スプレーを付けて表面を拭いていく。スプレーを靴に直接かけるとシミになる場合があるので、一度ウエスに付けて目立たない場所で試してみること。

Step 4. 隅々までしっかり拭くこと

ソールとの際や縫い目といった隅にもカビは生えている。落としにくいだけにしっかりアルコール除菌剤で拭いていく。取れるまでゴシゴシ拭いていっても構わない。

Step 5. クリームで革を復活させる

除菌剤でカビが落ちたら一度乾燥させる。乾いたら乳化性クリームを塗っていく。布でクリームを付けてもいいが、細かいところまでクリームを入れるためにはブラシの方がいい。

Step 6. 靴ヒモの交換は必須

クリームを付けたらブラッシング、拭き上げ、仕上げのブラッシングと普段のメンテと同じ作業を行う。古い靴ヒモは再びカビの発生源になるため、捨てて新しいものに交換しよう。

Step 7. 完成!

カビは取り除かれ、クリームとブラッシングによって、カビが生えていたとは思えないほど、本来の黒く深いツヤがよみがえった。靴ヒモも新しくなり、気分も一新!

カビに効くケアグッズ

1.カビを落とすための市販のアルコール除菌スプレー。
2.革に栄養を与える乳化性クリーム。TAPIRバルサム無色(¥1,575)。
3.磨き上げ用のウエス。使い古しのTシャツなど柔らかい布がいい。
4.コンパクトで細かい部分にまでクリームを付けやすい専用ブラシ。白馬毛江戸屋クリーム付けブラシ(¥1,890)。
5.汚れ落としに白馬毛、磨き上げに山羊毛とブラシを使い分けるといい。江戸屋白馬毛小判型(¥4,725)、江戸屋山羊毛小判型(¥4,725)。
6.シューキーパー(¥12,600)

カビはソールと底側の間にも潜んでいる。
根絶するならソールをはがして丸洗いで。

ブラスではカビが生えた靴のメインテナンスを受けると、ソールをはがして丸洗いしてしまうという。というのも、カビはソールと底側の間にも生えていることが多く、カビを根絶するにはこの方法が一番なのだとか。根深いカビなら、やはり専門家に依頼しよう。